小出絹恵税理士行政書士事務所

お問い合わせ・ご相談はお気軽にどうぞ
Tel.03-5486-9586
トップページ > 事務所の紹介 > 執筆原稿より 2010年度分

皆様と小出絹恵(シルク先生)をつなぐ会計・経営・税務総合情報

現在は情報を「知る」ことの大切さ、
それを自分の目で「見る」好奇心と
行動力が求められている気がします。

大切なお客様に少しでもお役に立てればとの願いを込めて
「知る」と「LOOK(見る)」と絹(silk)でつむぎました。

折れない! やれることをやる! 2010年12月号

本「潰れてたまるか!」から

 今月は「潰れてたまるか!」(注)という本から、
 2つの会社の実例をご紹介させていただきます。
 書名のとおり、崖っぷちに立たされた社長様が、
 どのようにして経営危機を乗り超えたのか。その社長様の言葉にはやはり説得力があります。
 きっと皆様の経営のお力になるのではないかと思います。

今の日本に足りないのはハングリーさだ!

<コーリン色鉛筆 井口英明社長>
「なんでもいいから、生きるための何がしかの行動を起こしなさい」
 嘆いたり、愚痴ったりしている暇があったら、何か行動を起こせというのです。
 
 井口社長は、1997年に倒産したコーリン鉛筆株式会社の一社員でした。
 会社倒産後もタイで操業を続けた井口氏は、2009年9月に、日本で株式会社コーリン色鉛筆を設立し、見事復活を遂げられたのです。
 
 氏は1966年生まれ、44歳です。
 タイに住む井口氏から見たら、日本人がハングリー精神に欠けると見えるのでしょう。
 日本国内に居る私たちも、それは何となく感じてはいます。
 
「今の若者は覇気がない」
「やる気があるのかないのか分からない」などと言って、
若者のハングリー精神の無さを嘆いたりしています。

 しかし、果たして大人達はどうなのでしょうか。
 いつの間にか国内だけを見てはいないでしょうか。
 居心地のよい日本で、現状に甘んじているうちに、
 “ガラパゴス”や“ゆでガエル”になってしまっているかもしれません。

バブル崩壊よりも量販店進出が脅威

<株式会社ヤマグチ 山口勉社長>

 町田市で電気店を営むヤマグチは、
 「粗利重視の高売り」で家電量販店激戦区の町田で
粗利35%を達成しています。
 
 メディアにも度々登場していますので、ご存知の方もおられるのではないかと思います。
 
 山口社長は、バブル崩壊での売上ダウンは
 気にしなかったが、家電量販店の進出には「外的環境の変化」に切実な厳しさを感じたと述懐されています。
 
 氏が「家電量販店のような“規模の利益”もなく、パパママショップのような融通もきかない、まったく中途半端な規模の店だった」というヤマグチにとって、
 薄利多売は望むべきもなく、かといって従業員に手をつけるような経費節減もできなかった山口氏はやむなく、
 「手厚いサービスを重視して、あえて“高売り”にする経営は成り立たないか」との考えに思い至ったようです。
 
 そのために、顧客を従来の1/3に絞り込み、その顧客を
 「購入頻度と累計購入額とで分類し」第一に購入頻度を増やすことを目標にかかげ、
 次に累計購入額の多いお客様を増やすことを目標に訪問営業を行ったのです。
 さらに、従来の「売上高目標」を「粗利目標」に変え、計画も実績評価も「粗利基準」に変更したそうです。
 
 ヤマグチでは「日次決算」を営業マンに課しています。
 それは「日々の成果がはっきり見えれば、営業マンも
目標設定が明確となり、モチベーションも維持しやすくなるから」だそうですが、月次決算のできていない会社も多い中で、営業マンに日次決算をさせるというのは、ものすごいことだと思います。
 
 粗利重視の経営が成り立っている秘密が従業員のお客様対応にあることはもちろんです。
 
 「お客様の期待を超えるサービスをしよう」を合言葉に、
 「ちょっとしたひと手間加えて何がしかのサービスを提供するように心掛けている」のです。
 
「でんかのヤマグチって、こんなこともしてくれるのよ」
というお客様の口コミがいちばんの営業になっているのだそうです。

「売らんかな」ではなく、「どうしたらこの方に喜んでいただけるか」を基本に据えてみると、
何か楽しくなりませんか。きっと違った世界が開けるような気がします。

(注)引用文献:「潰れてたまるか」影山惠子著 屋宮久光監修 ㈱阪急コミュニケーションズ

見方を変えると楽になる!!リフレーミング 2010年10月号

リフレーミングって何?

 水が半分入ったコップを見て、
 「まだ半分残っている」と考えるか、
 「もう半分し残っていない」と考えるのか。
 あなたはどちらですか。 
 
 よく「積極思考」とか、「消極思考」とか言いますが、
 “物事の見方を変える”ことを“リフレーミング(reframing)”と言います。
 リフレーミングというのは、今までの枠組みをはずして別な枠組みに入れ直すことです。
 

リフレーミングの具体例

 私がこの言葉に出会ったのは、つい最近のことです。
 お客様の会社に伺ったときに、社長様の机の上にあった「リフレーミング」と書かれた次のような言い換え一覧を目にしたときです。
 そこには、
  気が短い・せっかち ⇒ 機敏
  自己中心的 ⇒ マイぺース
  時間にルーズ ⇒ おおらか
  消極的 ⇒ 控えめ  
  気が小さい ⇒ 気がやさしい
  臆病 ⇒ 慎重
  集中力がない ⇒ 切り替えが早い
  鈍い ⇒ 動じない
 などと、マイナスイメージの強い表現が、プラスイメージの言葉に置き換えられているのです。
 

穏やかな人柄の秘密

 この表をご自分の机の上に置いていた社長様は、
 とても穏やかで笑みを絶やさない素敵な女性経営者です。
 
 私は、その社長の机の上にこの「リフレーミング」集を発見して、「なるほど!」と少し納得できた気がしました。
 「どうしてこの社長様はいつもこんなに穏やかで居られるのか?」と、本当にいつも頭の下がる思いでおりましたものですから。
 
 この社長様の笑顔の陰に、このリフレーミングもあったのかと得心しました。

 私たちは、意識すると否とに関わらず、自分の周りで起きた様々な出来事に、
 自分なりの意味づけや評価を行っています。
 
 社員や得意先、仕入先等、自分に関係する人達だけではなく、たまたま隣に座った見ず知らずの人に対してまでも、
 「この人はきっと○○○○なのだろう。」などと勝手に推測したりしています。
 
 「色眼鏡で人を見るな!」と言いますが、人は、知らず知らずのうちに、自分の見方(視点=自分の眼鏡)でものを見てしまっているようです。
 ものの見方や考え方にまで癖が付くものなのですね。

 ついてしまった「ものの見方」を変えてみること、
 “視点を変える”“別な言い方をしてみる”ことで、
 新たな人間関係が構築できるかもしれません。
 

リフレーミングの必要性

   ものの見方には、個人レベルの癖もあれば、日本人独特のものもあると思います。
 リフレーミングすることで、視点が開け、気付かなかった
 その人の良さを発見することもあります。
 
 人には様々な面があります。
 短所と思えることが、見方によっては長所にもなります。

 自分の尺度だけで評価して、“良い・悪い”を決めつけてしまうことは、
 もしかしたら、人間関係を狭めてしまう、とても勿体ない行為なのかもしれないのです。
 
 一面から評価を下すのではなく、
 別な視点から見てみることで、少し余裕を持って接することができるのではないかと思います。

 「なぜそういう行動をしたのか。」そのことについて聞いてみれば、「なるほど、そういうことだったのか。」と納得できることもあるかもしれません。

 社員の言動に、自分には理解できない部分を見つけたとしても、別な視点から見たら、それが長所になるかもしれないのです。
   

会社にとって必要な人間は?

 お客様とお話をしていると、
「最近の若者はやる気がなくて困る。」という嘆きを耳にします。
 ちょっとした事ですぐに辞めてしまう。
 長続きしない。
 辛抱が足りない・・・。
 人材に関するお悩みは、どの会社でも同様です。
 
 ところで、
  やる気がある⇒仕事ができる
  やる気がない⇒仕事ができない
 と考えがちですが、

 やる気があってもやらない人間と
 やる気は無いけれど与えられた仕事はきちんとやる人間とでは、どちらが会社にとって必要な人間なのでしょうか。
 
 表面上の言葉だけに惑わされずに、視点を変えて丁寧に見て行くことで、人材発掘に結び付くかもしれません。

あきらめないで!道は開ける 2010年8.9月合併号

折れずに続けていれば不可能も可能になる

 日本人初の女性旅客機機長となった藤明里さん(42歳)の言葉です。
 藤さんはパイロットになるのが夢で、航空大学校に進みたかったそうですが、身長が当時の基準に届かずに入学できなかったのだそうです。
 普通ならそこで諦めるところですが、藤さんは、なんとアメリカに渡って操縦士免許を取ってから帰国し、今の航空会社に入社したというのです。
 その彼女が、「これまで何千回、何万回とくじけそうになったが、折れずに続けていけば不可能も可能になる」と話していたのがとても印象的でした。
 人は、生きてくる中でいろいろなことを諦めて生きてきていると思うのですが、
 こういうニュースを見ると、元気が出ますね。

 

今ならできる

 親父バンドを作って、活動をしている社長さん方がおられます。お孫さんがいるメンバーもいます。皆さん、とてもお若いです。
 「今さらこんなことを言うのもおかしいかもしれないけれど、実は、いつか○○○○がしたいと思っていたんだ。」
 これは、つい最近、お聞きした言葉です。
 若い頃に買いたかった大型バイクを、定年になってから購入し、ツーリングを楽しんでいる人がテレビで紹介されていました。ピアノを習い始める人もいます。
 今ならお金も時間もあるから、若い頃あこがれていたものを手に入れたいという動機で、購入される人も多いと聞きます。
 日本人は寿命も延びていますし、心身ともに若くなっていると思います。昔は腰の曲がった人を見かけることもありましたが、今はそういう人は皆無です。
 みなさんお若いし、おしゃれです。
 

8掛けで見たらちょうど良い

 皆さん、ご自分の年齢をどのように受け止めておられますか。多分ほとんどの皆様が、30歳になったとき、
 「30歳って、もっと大人かと思った。」と感じたのではないでしょうか。
 年齢に対するイメージと、自分がその年齢に達した時に抱く感覚とは、かなり隔たりがあるのではないかと思います。
 そもそも自分の中では、子供の自分も青春時代の自分も、みんな詰まっていてつながっているのですから。
 そう変わった感覚がないのです。だから、行動もあまり変わらないのだと思います。
 そうですね。感覚的には8掛けした位がちょうど良いのではないでしょうか。
 8掛けで考えれば、60歳は48歳となります。このくらいがご自分の感覚と違和感のない年齢なのではないかと思いますが、如何ですか。
 

この感覚がビジネスチャンス

   そうだとしたら、この元気なミドル以上の年齢層の人達をターゲットにしたビジネスが成り立つのではないかと思いませんか。
 ミドル世代の人達が若者向けのビジネスをしようとしても無理があります。それならば、ご自分の感覚を生かして、自分と同じような人達のために、その人達が求めているサービスや商品を提供したら、ビジネスになるとは思われませんか。
 先日、テレビで「50歳以上の人しか入れない居酒屋」というのが紹介されていました。こんなに客層を絞ってやっていけるのかと言えば、これが結構繁盛しているというのです。
 同年輩で話が合う。居心地が良いと人気なのだそうです。
 ご自分の今の仕事の延長線上で考えても良いと思いますし、若い頃の夢を実現させて一石二鳥で、全く別なことにチャレンジされるのも良いと思います。
 

道は開ける

 「天は自ら助くる者を助く」
 大企業の景気は少し上向いてきているようですが、その影響が中小企業に回ってくるのはまだ先のこと。
 回ってくれば良いですが、回ってこないこともあるかもしれません。
 ただ待っているだけではなく、できることからとにかく行動することが大切なのだと思います。考えているだけよりも、現場に出た方が良い。

 一番の売上改善のヒントは、現場にあります。
 お客様の声、現場の社員の声に、改善と儲けのヒントが隠されています。

時代とともに移り変わる変わりながら続いていく 2010年7月号

「ゲゲゲの女房」から見えた

今、朝の連続ドラマ「ゲゲゲの女房」の人気が高いようです。題名からも分かるように、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者「水木しげる」一家のお話なのですが、

現在放送中の内容は、まだ芽の出ない、貧乏神が取り付いたような漫画家の一家という状況で、この先どのようにして人気漫画家となっていくのか興味の湧くところであり、その辺りが人気の秘密なのかもしれません。

それはさておき、この番組を見ていて、高度経済成長期であっても、消えていったビジネスがあったということに改めて気付かされました。 考えてみれば当たり前のことなのですが、いつの時代でも、成長する分野があれば、衰退する分野もあり、新しいものが出てくると、古いものの多くは消えて行く。

それが成長ということの一つの側面なのだということに、改めて思い至ったのです。

「紙芝居か、昔見た覚えがあるなあ。」
「そういえば、貸本マンガ屋さんがあったよね。」

テレビを見ながら懐かしく思い出されるのですが、両者ともに今は見かけなくなってしまいました。その代わりがテレビアニメであり、レンタルビデオであるのかもしれません。

漫画の変化

みんなが貧しかった頃は、漫画本は借りて読むものだったのですが、経済成長とともに、借りるものから買うものへと変わり、やがてテレビアニメの時代へと移って行ったのです。

漫画は、昔は子供に有害だとして批判の的でした。その辺りの事情も番組の中で出てきていますが、その漫画が、今や世界へ発信される日本の有力なコンテンツ産業になっているのですから、変われば変わったものです。

このように、漫画は成長し続け、その媒体はずっと変化し続けてきました。紙芝居にしがみついていては時代に取り残されてしまうのです。

生き残るために変わっていく

時代の変化に合わせて自らを変えていかなければ、変化の荒波を乗り越えてはいけない。これはどの業種においても言えることだと思います。

今、経営は大変ですが、昔もやはりそれなりに大変だったのです。

技術の進歩、経済成長、環境意識の変化等、移り変わる世の中にあって、今までになかったような仕事が生まれ、その陰で、それまでにあった仕事が失われていくのです。変化をいち早く感じ取って、その変化に柔軟に対応して、自らの仕事のやり方や売り方、取扱商品等を変えて対応して行かなければ、生き残っていけないのです。

長く続いている会社は、時代の荒波を柔軟に変化して対応することで、営業を継続してきているのです。

繊維産業、自動車産業、コンピュータ産業、・・・劇的なドラマがたくさんあったことが知られています。外部環境の変化に対して、その度に対応するしかないのです。対応できなければ会社が存続していけないのです。何も今に始まったことではありません。

 

いく川の流れは絶えずして

「いく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」です。吉田兼好の時代から世の中は“常ならず”なのです。

今、日本全体が活力をなくし、閉塞感が充満しています。経済的には日本は随分と豊かになったと思いますが、心の余裕と言いますか、満足感・幸福感というものは、低下しているように思えます。

みんなやたらと忙しくて、余裕のない世の中になってしまったような気がします。 こういう世の中にあって、今求められているのは、お客様に満足感を与えることができるビジネスです。

お客様の満足は、単に金額では満たされません。費用対効果、金額に対する価値として感じられるものだと思います。

大企業には資本力で太刀打ちできませんが、きめ細かなヒューマンパワーで、大企業が手を出さないような市場規模の小さい分野でオンリーワンになることが中小企業の戦略だと思います。ネットを生かすのもその一つだと思いますが、如何でしょうか。


共有による相続の問題点 2010年6月号

相続は分割?

お父様がお亡くなりになり、初めて相続を経験されたというご遺族にとっては、悲しみと混乱の中で相続手続きを進めなければなりません。

“相続”というと、続いて行くというイメージがありますが、
実際は、“分割”手続きを進めることが中心になります。 現預金、有価証券、不動産など、被相続人の遺産のそれぞれについて、だれがいくら取得するのかを決めて、
名義変更や登記などの手続きを進めることになります。

分割にあたっては、遺言書がある場合は別ですが、通常は相続人全員で協議して“遺産分割協議書”を作成し、
その合意に基づいて名義変更や登記などの手続きを行います。

不動産の分割の方法

さて、相続にあたって、不動産をどのように分けるのか、皆様悩まれるところです。

お母様が住んでおられる住宅であれば、お母様が単独で相続されるもことも多いのですが、
相続人皆様が「法定相続分」により共有で相続される場合もあります。

お母様が単独で相続された場合であっても、次のお母様の相続に際しては、兄弟姉妹で分割の方法を考える必要が生じます。

不動産の分割の方法としては、
  • 1.売って分ける。
  • 2.単独で相続する。
  • 3.共有で相続する。

ということになるわけですが、共有で相続した場合には、先々いろいろな問題が生じることになります。

共有相続の問題点

相続や譲渡などでご縁をいただいたお客様の中で、謄本を拝見したときに、土地や建物を法定相続分による共有名義にされている方々が少なからずおられます。

その人たちに、共有にされた理由を尋ねると、
「えっ、“法定相続分”で相続するのではないのですか?」と
聞かれることがあります。

法定相続分で相続しなければいけないと思っておられる方もいらっしゃるのですね。

誤解のために共有にされてしまった相続人の皆様も含めて、不動産が共有となっている場合には、何かと不都合が起こります。

共有者の中には、名義だけあっても何の実利もないから、売却して現金を手にしたいと考える人もいます。売却はするつもりはないという場合でも、家が古くなれば建て替えたくなりますよね。建て替えに際して土地を担保に借入れをする必要が生じるかもしれません。

しかし、売却する場合はもちろん、担保に入れる場合でも、共有者全員の承諾が必要となります。自分一人では何もできないのです。

さらに、兄弟姉妹の中に相続が起これば、さらに不動産の持分は細分化されていることになります。  「最後は売って分ければよい」と思っていても、権利者が増えれば増えるほど、考え方も多様になり、複雑になりますから、売却でまとめるのも一苦労です。  

 

共有不動産を分けるには

 

では、共有で相続した不動産の共有状態を解消したいという場合には、どうすればよいのでしょうか。

 それには
  • 1.売って分ける。
  • 2.不動産そのものを分割する。
  • 3.共有者の持分を買い取る。
  • という3つの方法があります。

上記2.の土地を分けるという場合に、注意していただきたいのは、共有不動産をただ測量して分筆しただけではだめだということなのです。

例えば、兄弟3人で1/3ずつの共有となっている300㎡の土地を、100㎡ずつ3つに分筆しただけでは、ただサンドウィッチを3つに切っただけのようなものなのです。分筆したそれぞれの土地が従来どおり1/3ずつの共有名義になってしまいます。

それを避け、それぞれ単独の所有とするためには、「共有物の分割」という登記が必要になります。持分(価額)に応じた分割であれば、譲渡所得税や贈与税はかかりません。

ただし、持分は単純な面積按分ではありませんので、道路付け等の要素も考慮して価額に応じた分割をする必要があります。

共有のメリットも

相続で遺産分割をするときには、共有による分割は避けた方が良いと思っておりますが、共有にするメリットもあります。

自宅を売却した場合の3,000万円の特別控除は、建物が夫婦の共有であれば、それぞれに適用があります。土地建物ともに共有にしておかれると値上がりの局面では節税効果が高くなります。

やっぱり日本は良いなあ だから内向き? でも内向き過ぎかも? 2010年5月号

上海に行って来ました

上海万博を前にした4月に上海に行って来ました。

中国がGDPで日本を抜いて世界第2位の経済大国になるのは確実という報道もされたりして、ショックを受けた人も多いと思います。

中国については、都市と農村の所得格差の問題や
不動産バブルの崩壊を懸念する声もあり、中国の経済発展も上海万博までだという話も耳にします。

実際どうなのでしょう。

今までにも何度か機会はあったのですが、どうも足が向かなかったのですが、もうこの目で見てみないことには話にならない。これ以上、先送りはできないと思って行ってきました。
今回、目にした上海の姿は、私が抱いていた中国へのイメージを
大きく変えるものでした。

槌音の活力

至る所で工事が行われているのは、もちろん万博のせいもあるでしょうが、それだけではなくて、中国政府の政策の下に、国造りが行われているという感じがするのです。

そこは共産主義の良さ(?)というか、荒っぽさというか、事業のスピードが格段に速いと思います。

日本は民主主義国家ですから、何をやるにも手続きが必要で、道路一本通そうとしたら、用地買収に莫大な費用と時間がかかります。それに比べて中国は・・・、という感じです。

やはり槌音というのは、良いものですね。
活力を感じます。

日本も東京オリンピックや大阪万博の頃は、追いつけ追い越せで、
よりよい未来を信じて、国造りをしていたと思うのですが・・・。昭和30年代40年代がそうだったでしょうか。

今は経済発展のスピードが当時とは比べ物にならないくらい速いですから、中国の発展スピードはすごいものがあります。
世界の資本市場の投資対象としては、日本が取り残されてしまっている
という危機感さえ覚えました。

いつも何か仕掛けている

「上海はいつも何か大きな催し物をやっているものだから、
次々と新しいホテルが建築されても、需要に供給が追いつかなくて、
ホテル代も上がっています。」
とはガイドさんから聞いた話です。

「そうか、いつも何かを仕掛けていなければいけないのか。」

仕掛けて、呼び込んで、外資の資金を吸引し続けている中国が
そこにありました。立ち止まってはいけないのですね。

都市も企業も休んでしまってはいけないのですね。

内向きになっているかも

林立する超高層ビル群、その一つ一つのビルのデザイン性、
美しさに加えて、その数の多さに驚くばかりです。

それでも、蛇口から出る水からはカビのような臭いがしますし、前日に宿泊したホテルの浴槽の底には錆のような砂のようなものが残っていました。蛇口から当たり前にきれいな水が出る日本の水道のありがたさ。 

中国の富裕層の人たちは、日本の値段の3倍もする日本製の粉ミルクを安全のために買い求めると言います。

日本の水と食、治安の安全さ、住みやすさを改めて感じます。
日本人が、無防備なのも、“安全”を意識しないで生活できているおかげなのですが、その快適な生活の中で現状に満足してしまい、

冒険心や外国に活路を求めるというような意欲を失わせてしまっているかもしれないと感じます。

人材がカギ

一昔前は、日本の優秀な職人でなければ作れないと思われていた製造業の根幹を支える金型ですが、今や優秀な日本の機械が、それを代替しているというのです。

しかし、機械では調整しきれない部分があって、そこに職人技が生きてくるそうなのですが、その高度な技術を持った職人を、日本では定年や業績不振による解雇などで放出してしまっているというのです。

そういう人材を中国企業が雇用したり、企業買収をしたりして手に入れているという話を聞くと、日本製品は高い技術力で差別化できると安心しているわけにはいかないと感じます。

視察した企業に共通するのは、人材の活用です。どの国においても人財が企業発展のベースであり、人の問題で悩んでいると感じました。

今年の税制改正は? 情報の活かし方 2010年3月号

平成22年度税制改正大綱

昨年12月22日に、平成22年度税制改正大綱が発表され、
今年の2月5日には、平成22年度税制改正のうちの国税部分の改正に
ついて「所得税法等の一部を改正する法律案」が「租特透明化法案」と共に国会へ提出されました。

まだ、正式に法律が通ったわけではありませんが、大枠は大綱に沿った内容の改正となり、年度内成立を目指すのであれば、3月末には改正法案が成立するはずです。

改正されると有利になるのであれば、「よかった、よかった。」で成立を待っていれば良いのですが、それとは逆に、改正によって、自社にとって不利な状況になるのが分かっているのであれば、改正法が適用になる前に、これに備えた対応をする必要も生じます。

これは、経営全般についても言えることではありますが、

  • 1.情報をいち早く入手し、
  • 2.その中から自社に有益な情報をキャッチして、
  • 3.行動に移す。
ということで大きな違いが生まれます。

もしかしたら、運が良いと言われる人は、常々知らず知らずのうちに、
こういう行動を取っているのではないかと思います。
税制改正の場面においても、同じことが言えます。

事前に対応できることは?

子供手当てが支給されることに関連して、
年少扶養親族(年齢16歳未満の扶養親族をいう)に対する扶養控除を廃止するというようなことは、対処方法がありませんが、法人税や資産税関連の改正については、新しい法律が適用される前に対応することができるものもあります。
相続対策や事業承継対策を行おうとしておられる場合などは、ご自分の会社がどういう影響を受けるのか、新しい税制が適用になる前に行っておくべきことはないのか等について、検討しておかれる必要があると思います。
法人課税においては、グループ会社間取引について、多くの見直しが行われます。100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等については、グループ会社外に当該資産が移転等するまでは、譲渡損益についての課税は繰り延べられます。定期金に関する権利の評価も変わります。小規模宅地の評価の計算の仕方も変わります。
顧問の先生と相談されて、自分のところは、対応策が必要か否かを検討されるとよろしいのではないかと思います。

○法人税では

ついにと言いますか、やっとと言いますか、
「特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度」が
廃止されることになりました。

22年4月1日以後に終了する事業年度から廃止される予定ですので、
3月決算の会社は、22年3月31日に終了する決算までは、従来どおりに適用があり、来年からは適用がなくなります。
それ以外の4月~2月までの決算の会社は、これから終了する決算から、業務主宰役員の損金不算入制度はなくなります。

しかし、実は手放しでは喜べない仕掛けがあるのです。

大綱には、23年度税制改正で、給与所得控除を含めた所得税のあり方について、個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するために、抜本的措置を講じると書いてあるのです。

法人税での調整(損金不算入)はやめて、個人の所得の方で調整しようというわけです。これが、手放しで喜べない理由です。

ところで、事業承継対策の中で、子会社を設立したり、また、逆に合併したりすることもあると思います。株式の移動を行うこともあるでしょう。また、関連会社間で、資産の移転を考えておられる場合もあるかもしれません。

今年の税制改正の中には、100%グループ内の法人間の取引についての規定が盛り込まれていますが、ここでいう100%グループ内の法人の中に入る法人の範囲が思いのほか広いのです。直接保有する関係だけではなく、間接に保有する関係も入りますので、親族の経営する会社にまで及ぶこともあります。念のため、100%グループ会社の範囲を確認しておく必要があると思います。

また、不況の影響を受けて、会社を清算しようという場合もあるかもしれません。従来適用されていた清算所得課税が廃止され、通常の所得課税に移行することになっているのですが、この影響も大きいと思っています。これについては、平成22年の10月1日から適用される予定ですので、社長借入の多い会社は、事業承継の一環としてその前に是非、検討していただきたいところではあります。

目指せ売上アップ!! 2010年2月号

伸びている会社はあるのだから

「こういう時代だから売上が下がるのは仕方ない。」と諦めてしまっていませんか。
「景気が悪いから」とか、世界的不況だから仕方がない。」と言っていても始まりません。
自分だけがこんな目に合っているというような過度な被害者意識を持つことは、百害あって一利なしですが、そうかと言って、皆悪いのだからと、何も手を打たないで漫然と時を過ごしてしまうのも勿体ないです。

努力している会社はあります。
業績を伸ばしている会社はあるのです。

気がついた時には取り残されていた、などということのないように、できることからやると決めて、行動に移すことが大切だと思います。


頑張るにも資金が必要!!

そうは言っても、目先の資金繰りに不安があると、営業をする意欲も湧いてこないと思います。
とりあえず、手元にお金があれば、売上が少しくらい下がっても、心の余裕が違います。

だから、「借入れはまだしなくても大丈夫。」と社長様が考えておられるくらいのうちに、借りられるお金は借りておかれた方が良いと思います。

昨年の会報にも書かせていただきましたが、早めの資金手当てをされた社長様方は、結果として皆様が「借りておいて良かった。」とおっしゃっておられます。

「手元にお金があるので、入金が遅れても心配しないでいられる。」
「目先の売上がなくても、営業の種まきができる。」
という声をお聞きすると、早めの資金手当ての大切さを改めて感じます。

もちろん、借りたお金は返さなければなりませんから、返済が待っているのも確かなのですが、こういう時代には、借りられる時に借りておくのが、会社を守る方策だと思います。

社長様の中には、借りたお金を使わないで、預金においておかれる堅実な方もおられます。
もっとも、そういう社長様は稀なのも事実です。
有ると使う必要が出てきてしまうのがオアシと言われる所以でもあるのでしょうから。


”入り”に合わせて”出”を考える

キャッシュフロー重視の経営を目指すことが、安心経営に繋がるのは間違いありません。
今までは、これだけ経費がかかるから、これだけの収入が必要だというように“出”に合わせて“入り”を考えてきました。
しかし、売上が伸びない状況では、入ってくるお金に合わせて、支出を見直すことが求められます。
経費一つ一つの費用対効果を考えて見直すことが求められます。入金の範囲で支出することが分かりやすいキャッシュフロー会計の基本です。

接遇で売上アップ!!

経費を見直すことは大切ですが、経費の切り詰めだけでは、職場の士気が低下してしまいます。
やはり売上が伸びてこそ社員の士気も上がり、職場の雰囲気も良くなります。結果、お客様への対応も益々良くなるという好循環が生まれます。

最近、“接遇”という言葉を耳にされた方もおありではないかと思います。
テレビでも紹介されましたし、セミナーや書籍の出版もされておりますから、ご存知の方も多いと思いますが、接遇の第一人者の平林都さんの書籍である「平林都の接遇道」(大和書房)には、

人に好印象を与える人の3条件として、
  • 1.笑顔の人
  • 2.自分から挨拶をする人
  • 3.自分から動く動作がみられる人
をあげています。

1.2.は分かりやすいのですが、3.は少し説明を要します。

平林さんの言葉で言うと、「店員さんがいくら心で『お客様を喜ばせて差し上げよう』と思っても、行動に表わさなければ、何にも伝わらないのと一緒です。」ということになります。

心の中で思っていても外からは見えない。外から見えるように行動に表わす。人はその人の行動を見て評価するのです。

例えば、お店に入ったときに、なかなかオーダーを取りに来てくれなくて、やっと来たかと思えば面倒くさそうに注文を聞くような店員さん。今はこういう店員さんは少なくなりましたが、それでも、たまに出会うことがあります。

お店としては、お客様第一、お客様に喜んでいただきたいと思っているのでしょうが、一人の店員さんの行動が、お客様に全く逆の印象を与えてしまっているのです。

接遇には設備投資はいりません。お金をかけなくてもすぐにできます。やると決めて、取り組むめばすぐに効果が表れるのが接遇だと思います。

年末資金のご準備は? 2010年1月号

年末資金のご準備は早めに!

今年もそういう季節になりました。
会社の年末資金の手当てはお済みですか。
経済環境はまだまだ危うくて、先の売上見込みに不安を感じておられる社長様も多いのではないかと思います。
「今はまだ大丈夫だけれど・・・」という社長様も、早めに資金手当てをされておくのにこしたことはありません。
「毎年借りているから大丈夫!」とは思いますが、
今年も借りられるかどうかは、実際のところは
申し込んでみなければ分かりません。
融資の審査が下りてさえいれば安心というものです。
融資実行の日は任意にすることも可能なのですから。
融資をお考えの社長様は、今すぐ融資のご相談を!


日本政策金融公庫に変わりました

「『日本政策金融公庫です。』と言って電話をしても、切られてしまうのですよ。」
日本政策金融公庫の社員は、今、昔から馴染んだ名称が変わったことでかなり苦労をしているようです。

国民金融公庫が国民生活金融公庫に変わったときは、それ程でもなかったようですが、2008年10月1日に株式会社日本政策金融公庫に変わったことは、その時の比ではなくて、先の電話のように、「うちの会社は、そんなに大きな金融機関とはご縁がありませんので。」と言われて、話も聞いてもらえないうちに、電話を切られてしまうことがあるのだそうです。

日本政策金融公庫は、日本政策投資銀行に似ていますから、勘違いし易いのでしょうね。
正直、「国金、こくきん」と言っていた頃と比べると、名称に馴染みがないのは事実で、私がお客様に融資のご説明をさせていただくときでも、「昔の国金、今は日本政策金融公庫って言うのですけれども・・・。」といちいちお断わりさせていただいてからご説明させていただくようにしています。
いくら「日本公庫」と呼んで下さいと言われても、その略称も耳慣れていないところではあります。


意外と使える融資制度!

日本政策金融公庫が行っている“セーフティーネット貸付”をご存じですか。
政府の緊急経済対策の一環として、行われている今年度限り(来年3月まで)の融資制度で、結構使えると思います。

日本政策金融公庫の融資というと、「保証人が必要なのでしょう?」と聞かれますが、最近は、第三者保証がなくても借りられるようになっています。それが、上乗せ金利です。

セーフティーネット貸付では、通常の金利に年0.3%の金利を上乗せすることで、第三者保証人が不要となるのです。
考えてみれば、通常の借入れの場合には、信用保証協会を使うので、銀行に対す金利の他に、保証料がかかることが多いわけですが、日本政策金融公庫からの借入れには、信用保証料がかかりませんから、この上乗せ金利を払えば、第三者保証人は不要となる、この制度はお客様からは好評です。

それと、“おまとめローン”が便利です。複数回にわたって借入れをしているような場合には、元本返済が高額になりがちですが、これを一本の借入れにまとめて、返済期間を延ばして、毎月の返済額を減らすことができます。
通常、売上が下がると、⇒返済額は変わらない⇒資金不足⇒また借入れ⇒返済額が増える、という悪循環に陥りがちです。おまとめローンは、この問題を解決してくれる方法でもあります。

旧国金の借入れというと、既存の借入金の返済が半分以上進んでいないと、次の借入れができないのですが、今回のセーフティーネット貸付は特別で、7割8割残っているような状態でも、次の融資や“おまとめローン”を検討してくれるそうですので、ご相談されてはいかがでしょうか?
Copyright(C) 小出絹恵税理士行政書士事務所 All Rights Reserved.